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オンライン初診 恒久化へ

 今⽉8⽇付の⽇経新聞によると、政府は現在新型コロナウイルス対応の特例として容認している初診からのオンライン診療について、恒久化する⽅針だと報じています。今⽉18⽇にも恒久化の⽅針を閣議決定し、22年度からの実施を⽬指すことになります。記事によれば、過去に受診歴のある「かかりつけ医」を原則とし、それ以外の場合は事前の対話や健康診断結果の把握などを条件とするようです。


 そこで今回は当社でもシステムの導⼊⽀援を⾏っているオンライン診療の活⽤⽅法についてお話ししたいと思います。



オンライン診療の現状と今後の行方

 オンライン診療は2020年4⽉、新型コロナの院内感染を防⽌するための特例措置として初診から解禁されました。しかしながら、電話も含めた遠隔診療の登録医療機関は全体の15%程度で昨年から横ばいが続いています。初診から実施している医療機関はさらに少なく、全体の6%程度にとどまります。


 オンライン診療は通院負担が減る患者にとって便利ではありますが、医療機関側からすると診療報酬が対⾯の半分程度にとどまる現状において、システム投資にかかるコストや診療時間を確保する負担といったネガティブな要素に⽬が⾏きがちなのも事実です。しかしながら⽇本国内において携帯電話所有者のうちスマートフォン⽐率が9割を超える現状において、情報通信機器を活⽤しようという流れはもはや⽌めることはできません。


 この流れは医療業界においても当然に影響を与えています。現状15%程度にとどまるオンライン診療ではありますが、今後は確実に増えていくことになります。実際、今回の時限的な特例措置により、これまで存在していた疾患制限などの規制が⼤幅に緩和され、医師の判断をもとにしたオンライン診療の利⽤は急速に広がりました。診療科については内科領域、⼩児科、⽪膚科、⻭科領域や産婦⼈科領域などを中⼼に、幅広い診療科での利⽤が進んでいるようです。


 医療機関にとってオンライン診療のメリットはどこにあるのでしょうか。以下に科⽬ごとの活⽤事例を⾒てみましょう。⼯夫次第で⾊々と活⽤の幅は広がりそうです。


内科領域での活用法 再診外来での活用がカギ

 保険適⽤の再診外来でしっかりオンライン診療を活⽤できるかがカギとなります。⾼⾎圧、脂質異常症、糖尿病、痛⾵といった慢性疾患の患者をいかにオンライン診療に導くか。「次回、お薬処⽅の際はオンライン診療、直接の来院どちらでも対応可能です」と医師から直接伝えていただくことが上⼿くシステムを回していくコツとなります。


 さらに消化器内科においては内視鏡検査の結果説明をオンライン診療のメニューに加えることで患者の通院負担の軽減、医療機関側にとっては隙間時間の有効活⽤になります。会社の健康診断を受けた結果、内視鏡検査をする⽅は多くいますが、病理検査の結果説明に再度会社を休むのは⾮常に⼤きな負担になります。


 内科領域においてオンライン診療を活⽤するポイントは、複雑なメニュー設定をするのではなく、慢性疾患の患者を再診外来というメニューでオンラインに導き、外来とのバランスを取りながら運⽤していくことです。


小児科領域での活用法 治療継続しやすい環境づくりに

 ⼩児科は⾵邪や感染症などの急性期の患者が集まりやすい傾向にあるため、オンライン診療を導⼊することで、院内での感染リスクを避けたい慢性疾患の⼩児患者を持つご両親の満⾜度向上につなげることができます。


 また通院に時間を割けない共働き世帯が増えていることもあって、オンライン診療を取り⼊れることで集患につながりやすい診療科⽬でもあります。世代的にもスマートフォンをはじめとした情報端末に慣れている⽅が多いので、親和性は⾮常に⾼いといえます。


 対象疾患ではアレルギー性疾患、アトピー、花粉症、喘息などの治療に取り⼊れられるケースが増えています。特に喘息の治療は⻑期に及ぶため、治療途中で通院が途切れてしまうといったことも考えられますが、このような患者の離脱を防⽌する効果も期待できます。また⾃宅から出ることのできない重度⼼⾝障害者、夜尿症、発育相談などのカウンセリングにも活⽤されています。


 治療を継続しやすい環境を作ることで集患と定着化を図り、⾮接触の診療⼿段によって院内感染対策も推進していく。これが⼩児科領域でオンライン診療を取り⼊れるメリットです。


整形外科領域での活用法 近隣との差別化に効果

 対象患者のイメージが湧きにくい診療科⽬ではありますが、実際にはオンライン診療の活⽤事例が増えているのが整形外科です。


 多いのは腰痛やリュウマチ、痛⾵患者の⼀時的な対処療法として痛み⽌めの処⽅に活⽤するケース。また意外なことに⾻粗しょう症患者との親和性も⾼いようです。⾻粗しょう症は50代⼥性に罹患者が多いのですが、まだまだ就業されている⽅も多くいます。このように通院しにくいという社会的背景があるため、3回のうち1、2回をオンライン診療に置き換えるだけでも通院の利便性は格段に⾼まります。またコメディカルの⽅による運動指導にも活⽤されています。


 整形外科は地域に複数あることが多く、それぞれが患者を抱えています。しかしながら、近隣の診療所との差別化においては遠い、近い以外になかなか特⾊を出しづらいのも事実。外来以外にオンライン診療という選択肢があることで通院の利便性が⾼いという差別化につながり、患者の囲い込み効果を期待することができます。


美容⽪膚科領域での活用法 プライバシーの確保

 美容⽪膚科領域でオンライン診療はかなり相性が良い科⽬のひとつです。特に昨年以降、在宅時間が増えたことや、マスク着⽤による⽪膚トラブルの治療を検討される患者も多く、オンライン診療の活⽤ニーズは⾼まっています。例えば平⾏して実施している保険診療から⾃費の美容治療に誘導したいといったケースにおいて、オンライン診療によるカウンセリングで患者の興味関⼼を促し、⾃費治療につなげるといった使い⽅があります。

 

 相性の良いメニューとしてはニキビ、アトピー、蕁⿇疹。またゼオスキンやガウディスキンといったドクターズコスメは定期的に受け取る必要がありますが、仕事や学校等で通院負担の⾼い患者にとって、通院せずに受け取れるオンライン診療は治療においてかなりのメリットとなります。


 このような定期処⽅メニューやスキンケア経過観察などに関しては、診察時間も短くなる傾向にあり、オンライン診療に置き換えることで院内の混雑緩和や対⾯診療の時間確保など、医療機関側のメリットも⼤きいでしょう。


 他にも美容⼿術やAGA、EDの初回相談のハードルを下げる、プライバシーを確保するといった観点からもオンライン診療は有効です。


産婦人科領域での活用法 デバイス慣れした患者が多い

 産婦⼈科は患者の年齢層が10代から60代までと幅広く、仕事や学校で昼間の通院が難しい⽅が多いため、移動時間や待ち時間を削減できるオンライン診療の需要は⾼いといえます。また、オンライン診療はスマートフォンに慣れている20代から40代の⼥性を中⼼に多く活⽤されているというデータもあり、相性も良いといえます。

 

特に今の時期、オンライン診療による院内の混雑緩和や通院しなくても治療を継続できる環境づくりは、院内感染を恐れる妊婦や乳幼児連れ患者の満⾜度向上につながります。


 相性の良いメニューとしては、定期的な処⽅が必要なLEP処⽅やOC処⽅、更年期障害の⽅へのホルモン補充療法などがあります。即⽇結果のでない検査結果の説明などは診察時間が短くなる傾向にあるため、オンラインに置き換えることで院内の混雑緩和や対⾯診療の時間の確保といった医療機関側のメリットも⼤きいでしょう。


 最近では医師による診察だけでなく、胚培養⼠やカウンセラー、助産師などのコメディカルの⽅が対応されることも多く、不妊治療の相談やカウンセリング、胚凍結の更新窓⼝などとして活⽤される事例も増えています。


耳鼻科領域での活用法 発熱トリアージ、CPAP治療に

 今年3⽉に⽇本⽿⿐咽喉科学会においてオンライン診療の指針ともいうべき「オンライン診療の案内」が共有されたこともあり、今後、積極的な活⽤が⾒込まれている科⽬です。


 増えている活⽤⽅法としては、まず発熱トリアージ。電話での発熱相談やドライブスルー形式といった医院独⾃の形でとりまとめているものをオンライン診療に置き換えます。


 もうひとつはCPAP治療での活⽤です。⽇中は時間的制約のある会社勤めの60代以下の⽅々に⽐較的多い疾患ですから、通院のハードルが下がるオンライン診療はもともと相性が良いでしょう。今回のコロナ禍によってオンラインへのニーズはより⼀層加速した印象です。


 また、⽐較的急性期がメインの診療科ではありますが、慢性疾患患者への処⽅をオンライン診療に置き換えることで通院継続率向上の効果も期待できます。


精神科・⼼療内科領域 患者の需要にマッチしやすい

 問診、視診が中⼼となるため、オンラインに置き換えやすく、通院しているという事実を悟らたくない患者の需要にもマッチしやすい診療科⽬といえます。⽶国では精神科・⼼療内科に特化したガイドラインが存在し、効果も認められているため、導⼊される医師にとっても安⼼につながっているようです。


 対象疾患例としては、うつ病、不眠症、パニック障害、強迫性障害、ADHD、⾃閉スペクトラム症などですが、基本的に再診外来での使⽤がメインとなります。まずは来院してもらい、その後症状が安定している患者、薬の定期処⽅が重要な患者に対して、次回以降オンライン診療の選択肢を提供するというのがメインの使い⽅になります。


 また、カウンセリング、リワーク⽀援、ケースワーク相談といった臨床⼼理⼠が対応する⾃費メニューを⽤意することで、患者様に幅広い解決策を提供できることもオンライン診療を導⼊する⼤きなメリットとなります。

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